戦艦オーロラ号…1980年夏
2010-08-20


ジョン リード 著、 原光雄訳
『世界をゆるがした十日間(上)』
1957年、岩波文庫

 私たちは寒い、興奮せる、夜闇のなかへ歩みでた。それは、行動中の名もない軍隊がざわめき、巡察隊で帯電したようになっている夜闇であった。ペトロパウロフスク要塞が黒い塊まりになってボーッと見える河向こうから、シワガれた叫び声がきこえた。……足もとの歩道には漆喰の破片がちらばっていた。それは軍艦アウローラから射った二発の砲弾が命中して、宮殿の軒蛇腹から落ちたものであった。砲撃のためにうけた損害は、ただそれだけであった。



 ロシアのレニングラード(当時)で戦艦オーロラ号を見る。ネバ川に係留されていて、動くことはない。日露戦争でも使われた戦艦。革命家が多く乗船し、1917年10月25日(ロシア暦)、革命が始まった。オーロラ号は砲撃を開始し、これが合図となって、冬宮攻撃が行われ、ソビエト政権樹立へとつながっていく。
 ソビエト政権後の歩みは歴史が示す通り。共産主義の理想とは裏腹に、人権は抑圧され、言論や思想の自由のない社会が確立し、軍事力増強を優先して国民生活は後回しになった。それでも、世界で初めて宇宙に人を送り、米国と並ぶ大国になった。ソ連の世界における影響力は大きかった。1991年末に、ソ連邦は崩壊した。
 夏なので、川の水も動いていたが、これが冬となると、氷の中にある戦艦オーロラを見ることになるらしい。ただ、夏でも時々寒い日があった。船上で観光すると、8月の中旬というのに寒さを感じた時もあった。

禺画像]
[旅行]
[読書]
[モニュメント]
[旅]
[ロシア]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット