ピョートル宮殿(その5)…1980年夏
2012-03-02


トルストイ著、中村白葉訳
『トルストイ全集3 初期作品集下』
河出書房新社、1973年

「ピョートル一世」
    今バスで話しているかと思うと、たちまち金切り声に変わるのだった。が、帝が笑いだす時には、おかしくはなくて、恐ろしかった。アレクセイは皇帝を理解して、永久に記憶にきざんだ。

 

 ロシアという国の特質なのか、皇帝や指導者は絶大な権力を持ち、暴君となる者も少なくない。そうした暴君は他方で美しい建造物をつくったり、きれいな都市をつくる。レニングラードがここまで美しく、芸術的な都市となったのはロシア皇帝の権力による ものだろうか。日本は強力な政治指導者を抱くことを忌避する傾向が強く、その分美しい都市づくりは不得手のようだ。ヨーロッパの街並みに比べると、日本のそれは整然さに欠ける。
   いずれにしてもこのピョートル宮殿は 豪華絢爛で、見る者の心を魅了する。現在はペテルゴフと呼ばれるらしい。レニングラードがサンクトペテルブルクというドイツ語(ブルク)を使用した名前になってしまった。せめて一時使われたペトログラードというロシア語(グラード)を用いた方が自然な感じもするが、よけいなお世話というものだろうか。雨と噴水が奏でる宮殿の寒々とした雰囲気も趣がある。

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